[中学受験]比の便利さ・難しさとは?

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主に小学5年生の秋になると、算数は比を扱うことが増えてきます。
比で苦労する受験生は多いと言われます。
実際に苦労している方もいらっしゃれば、これからの比の学習に不安がある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、比は適切に使うことができればとても便利なものです。
私は家庭教師をしていて、比の便利さを実感する生徒や、比に苦しむ生徒を見てきました。
そこで、今回は、比はなぜ便利なのか、なぜ比に苦しむかについて述べていきます。
この記事の主な対象
- 比を学習する意義を知りたい方
- 比が苦手になる理由を知りたい方
目次
比の便利さ
以下の問題を使って、比を用いないで解く場合と、比を用いて解く場合を比較します。
Aさんは、今まで何回かテストを受けたところ、平均点が70点でした。
次のテストで90点を取れば、平均点が72点になります。
次のテストは何回目のテストでしょうか。
比を用いない場合
この問題について比を用いずに解く場合、いくつかの方法があります。
面積図を書かない方法もありますが、面積図を書くと、以下のようになります。

なお、面積図の作り方は、以下の記事をお読みください。
この面積図では、色をつけた部分の面積が等しくなります。

平均とは、高い部分を低い部分に移動させて、高さを揃えるということだからです。
右の青い部分が左の青い部分に移動したので、面積が等しくなります。
そうすると、左の部分は横の長さが分かりませんが、右の部分は縦も横も分かっています。
縦が90-72=18で、横が1です。
面積は、18×1=18となります。
左の青い部分の面積も18ですから、72-70=2で割ると横が求められます。
18÷2=9です。
最後に9+1をすれば、□が10と求められます。
比を用いない場合の計算をまとめると、以下のようになります。
- 90-72=18
- 18×1=18
- 72-70=2
- 18÷2=9
- 9+1 =10
もちろん、例えば、最初の二つの式を、(90-72)×1=18とすることなどで、式の数を減らすことはできます。
比を用いる場合
色を付けた部分の面積が等しくなるというところまでは同じです。

長方形の面積というのは、縦と横の積です。
面積が等しいということは、つまり、積が等しいということになります。
このように、積が等しい場合に逆比を用いることができます。
面積は縦と横の積ですから、縦の比と横の比が逆比になります。
左の部分の縦は、72-70=2で、右の部分の縦は90-72=18です。
縦の比は、2:18=1:9となります。
逆比にすると、9:1です。
左の部分の横は分かりませんから、△とすると、横の比は△:1です。
9:1=△:1という比例式ができます。
比例式を解くと、△が9だと分かります。
して、9+1=10で□を求められます。
比を用いる場合の計算をまとめると以下のようになります。
- 72-70=2
- 90-72=18
- ※2:18=1:9→9:1
- ※9:1=△:1→△=9
- 9+1=10
異なるのは、※を付けた二つの部分です。
※を付けた部分では、18という数字を9に変えて計算することができています。
もっと複雑な数字を用いる問題であれば、この違いはとても大きくなります。
比の便利さまとめ
つまり、比を用いることで、計算を簡単にすることができます。
これはとても大きなことです。
時間の節約になるだけでなく、計算ミスもしにくくなります。
また、精神的な負担も減るかもしれません。
このように、比は適切に使うことができれば、とても便利なものなのです。
比の難しさ
比は便利だから、積極的に用いていくのが良さそうにも思えます。
しかし、比は難しい部分があります。
理由はいくつかあります。
「比」と問題文に書かれていない
まず、最初の難しさは、問題文に「比」という言葉がないことです。
もう一度最初の問題文を見てみてください。
「比」とは、どこにも書いてありません。
つまり、問題文を読んで、あるいは作図をして、自分で「比を使う問題だ」と気づかなければ、比の計算が始まりません。
今回取り上げた問題は、比を使う問題としては典型問題だと思います。
6年生になれば、このような問題で比を用いるというのは、何度も目にしたことがあるでしょう。
そのような経験で、ある程度慣れている子にとっては、比を使うと気付くのは難しくありません。
しかし、特に算数が苦手な子にとっては、比を使うと気付くのはとても難しいです。
また、比を使うと気付くことができたとしても、その後に別の難しさが待っています。
抽象的
もう一つの難しさは、抽象的だということです。
比を用いない方法であれば、具体的な数を用いていくことになります。
式で用いた数字は、全て具体的な数です。
- 90(点)-72(点)=18(点)
- 18(点)×1(回)=18(点)
- 72(点)-70(点)=2(点)
- 18(点)÷2(点)=9(回)
- 9(回)+1(回)=10(回)
このように、すべての数字に単位を付けることができます。
では、比を用いる場合はどうでしょうか。
- 72(点)-70(点)=2(点)
- 90(点)-72(点)=18(点)
- 2(点):18(点)=1:9→9:1
- 9:1=△(回):1(回)→△=9(回)
- 9(回)+1(回)=10(回)
比の部分に単位がありませんね。
比というのは、具体的な数ではなく、数の関係を表したものです。
つまり、抽象的な数であって、単位はありません。
これにより、たとえば、9:1と逆比にしたところで、この「9」が何を意味するか分からないと、その後の計算ができません。
縦の比と横の比が逆比になるということを理解していないと、その後の計算ができません。
もちろんこのことも問題文には書かれていません。
これがもう一つの難しさです。
比を使う問題だと分かっても、その後の計算ができないという子も多くいます。
まとめ
比は、適切に使うことができれば、とても便利なものです。
比を使いこなせるようになることは理想的です。
そうすることで、計算がややこしい問題が、すぐに解けることもあります。
しかし、比には独特の難しさがあります。
比が苦手なお子さんは、無理に比にこだわる必要はないと思います。
もちろん、一旦は比の学習をすることは望まれます。
そして、問題文に「比」と書かれている問題は、解けるようになった方が良いです。
そのような問題であれば、比を理解していないと基本的には解けません。
しかし、問題文に「比」と書かれていなければ、比を用いずに解くこともできます。
無理に比を使わうのではなく、比を用いずに解くのも一つの方法です。
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